スターフォックス64のファルコなら、きっとそう言うだろう。
AIはクリエイティヴの敵か、味方か。AIというものが世に台頭して、それでもまだ数
年。そう……数年なのだ。その衝撃的なポテンシャル故に勘違いしがちだが、歴史的に見
れば赤子も同然。だからこそ頼れる兄貴か、それとも未熟な雛鳥か。それを皆、見定めて
いる途中だと思う。
今回AIを使って、大学生の時に書いていたハイテンション系ファンタジーギャグ小説を
加筆修正させてみたので、それについて綴っていく。
「え、小説書いてたんだ?」って人の為に説明しておく。時は十五年前、大学入学祝いに
買ってもらったPC(レッツノート)でフルスクリーンのエロ動画と深夜アニメに没頭す
るようになり、人の世から着々と足を踏み外し始めた。あの頃、キモオタとしての経験値
を稼ぎながら愚かなオタクはこう思ってしまったんだ――
小説って俺でも書けんじゃね、と。
当時読んでいたラノベがとある科学の禁書目録やバカとテストと召喚獣だった為(前者は
一巻で挫折。著者が文豪だった……)、あとは、そうだな、撲殺天使ドクロちゃんとか。
そういったラノベの影響を多分に受けた、シナリオや舞台設定で勝負するよりはテンショ小説を書いていたわけだ。それを丁寧にネット
ンと擬音の多さで強引に進行するタイプの
サーバーに保存していた。
かなりの年月が経ったある日、十五年程使っていたレッツノートがご臨終寸前だったので
フォルダの整理をしていた折、ファイルを偶然発見した。で、ふと読み返してみたら……
コレが意外と面白い。
これは俺の知能が十五年経っても成長していないわけではなく、シンプルに学生時代の俺
が優秀だったんだと思う。……多分な。
で、最近文学フリマという即売会の存在を知り、出てみようかと画策していたので、よし
じゃあこの小説をブラッシュアップして頒布しよう……というのが大体の経緯である。
ちなみに出展は決まっていない。出る際は制作された小説を持っていくつもりだ。
で、友達の少ない俺(≒僕は友達が少ない)はチャットGPTをよく利用するんだけれど
小説の加筆修正が出来るか質問したら、こう言うんだ。「任せてよ、お兄ちゃん!」
まぁそんだけ、云うのなら?べ、べべべ別にアンタの事なんか何とも思ってないし?なん
だったらクリエイターの敵ぐらいに思ってるけど?そこまで言うのならヤラせてみようと
思ったワケ。ついでにチャットGPTプロ版サブスクリプション1カ月無料サービスにも
申し込んで製作してもらった。
まず制作物のクオリティは、色んな人がAIを褒めている通り、俺も素晴らしい出来だな
と素直に射精した。小説を読んでみて、普通に面白かったし。音楽家なら分かる筈。AI
作曲のレベルの高さに翻弄されているだろう。小説も同様に、素晴らしい文章や展開を考
えてくれる。しかも印刷会社にすぐ入稿できるようにPDFの状態にもしてくれた。だか
ら質の良いものを作りたいけど、何をしたら良いか分からない……という人にはかなりオ
ススメできる。
逆に悪かった点。コイツが結構致命的な部分だったりする。
小説のノンブル(ページ番号)が特殊な付け方だったり「小説だったら右綴じだろう」と
いう所を何故か左綴じにしていたり。あとは本文のフォントの仕様とか。印刷会社から電
話が来て、「まだあるんですか!?」ってくらい散々言われてしまった。
仕様上の欠陥、なのかな。音楽で例えるなら、アンプもPAミキサーも全部設定してくれ
て「いつでも綺麗に音を出せますよ、演奏してね」みたいな状態にしてくれるのだが、ど
うやってボリュームを上げるのかは知らない、みたいな。モニターしているギターの音量
だけを上げて欲しい時、全部が上がってしまったり。シールドがアンプのどこに繋がって
アンプはミキサーのどこへ繋がっているのかを理解していない。それを指摘する為の専門
用語を我々すらも知らないという。……これが結構致命傷。

※加筆修正された小説。面白いぞ。まぁ元が良かったのかな、ハハッ!
妖刀×現代異能という中二病全開の一作。
AIも理解していない。で、AIを使用している俺らは当然素人。分からない。
となると、誰にも分からなくなってしまう。何か大事なパラメーターをいじる必要が出て
きた時、誰にも分からないという状態に陥ってしまう。つまり問題解決の道が絶たれてし
まうわけだ。表層部分だけを表現するAI。表層部分すらも知らない人間。この2つが組
み合わさると、もしかしたら危険なのかもしれない。
AIを使って勉強して、危険物取扱の免許を取りましたというスタッフに、俺だったら危
険物の取扱は絶対にさせたくない。理由はそういう事だ。
冒頭でAIは敵か味方か、と問うた。本来は敵とか味方とか、そうじゃない。敵視するな
ら勝手にしてくれ。そもそも俺はAIに作れない音楽を作っているつもりだし、AIの方
が凄いと笑われるのであれば、AIを超える楽曲を作ればいいだけだ。
その上でどう思うかって話だが、既に当該ジャンルにおいて広く知識を得ている人が使え
ば優秀なツールになると感じた。
プロセスを知らない素人が使うと、今回のように印刷会社に迷惑をかけたり、それによっ
てこちらも再入稿だったり、よくわからない単語を調べたり、チャットGPTと何度も何
度も問答をして睡眠不足になったり。「業者から電話来てるけど仕事で出れねぇ!」とか
精神的ダメージを喰らう事になる。
AIが出来てまだ数年。AIとは……無知がプロレベルを産み出す魔法のツールではなく
プロユースで使う魔法のようなツールだと思った。