オモチャというのは決してガラクタだと罵っている訳でも、自分を卑下している訳でもな
い。Kinetic Toysというソフト音源を買ってみたんだな。
https://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/cinematic/kinetic-toys/
まぁ、簡単に言ってしまえば「あらゆるオモチャの音」を詰め込んだ音源って所か。積み
木とかボールとか、モーターの音とか。勿論音階のある楽器(?)も多数収録されている
のだが、無音階の装飾音としてサウンドメイキングに使う、つまり……楽曲に何か足りな
い時に、これで仕上げていくという事もできる。
発売は2017年で、実は結構古い。試聴して欲しいなと思っていたけど、持て余すのは確実
だから先送りにしていた。
そう、これ、要らない音も付いてくるんだよね。この音使わないんだよな……っていう音
もバッチリ収録されている。まぁ、用途不明はソフト音源あるあるだ。
逆に、この音が欲しかったというマレット系の音とか、空間を装飾するファンタジーっぽ
いサウンドFXが手に入る。シンセベース、パーカスとして使えるサウンドも入ってるから
これだけで楽曲が作り込めるし、寧ろ他の音源(例えばドラム)なんかを入れると親和性
が崩れるから避けた方が良いと感じた。
購入者は全員、デモを聞いてからソフト音源を買うだろうから、そういう点では期待通り
の仕事をしてくれる音源だな。
……だが、この音源、超ムズイ。
ユーザーインターフェイスに散りばめられた各オブジェクトは全て動かせる。折り鶴とか
ロケットとか、星とかも全部だ。「模様か?」って思っていた文字も弄れるっていうね。
バレリーナとロボットが居るんだが、こいつらは初見殺しも良い所だ。
……正直言う。もしもこの音源を買おうものなら、Abletonを初めて触った時以上の困惑
が君を待っている。
オブジェクトの向きと場所を変えると、音が変わる。「直感的にサウンドメイクが出来る
よ」というコンセプトなのだろうが、ユーザーは初見殺し機能を搭載したハイスペックな
バレリーナに力で捻じ伏せられてしまうだろう。
じゃあどうしたら良いのか。答えは簡単だ。
Instrumentsという項目に35個のカテゴリー(テーマ)がある。このディレクトリ内部に
プリセットが詰まっているんだな。35個からテーマを選んで、プルダウンからプリセット
を選べば、操作に困る事はない。
カテゴリーから選んだ後にプリセットを探すという点では、以前買ったSymphonic
Destructionに似ている。まぁ同じKONTAKTだし。
ただ、プリセットが600以上あるので、お目当ての音を探すのは大変だ。
ちなみにスズムシの音とか、ドラゴンの唸り声とかも収録されている。色々な音楽を作る
のならば、痒い所に手が届く一品だろう。俺の場合は……現状では半数以上持て余してい
るが、安かったし、必要な音が入っているので買って良かった。
儚さ、子供っぽさをイメージした音が欲しい時、かなり優秀な音源だと思う。
特にベルやマレット。エスニック音源のマレットとも、シネマティック系のマレットとも
違う。この音なんだよな~っていう音が見つかる。
あとはピコピコ音。レトロゲーとかゲーセンみたいな音も結構入ってた。そういう意味で
は、本当あらゆるオモチャの音を入れたんだな、と。