バンプの「K」っていう曲で、そういう歌詞がある。俺が小学生の頃、フラッシュ動画が
流行っていて、自宅のパソコンで動画にその曲が使われていた。
あれを聞いた時の形容しがたい胸のトキメキは今でも覚えている。
バンプは小学生の頃に俺が知っていた、数少ない邦楽かもしれない。

唐突だけど、みんな元気?
俺は……微妙だ。

今年は厄年と言っていい。始まりは恐らく2月。実家のイヌが死に、俺のマンションに無
限にゴキブリが湧き続け、バイト先で責任問題を擦り付けられ、その他色々あって胃潰瘍
を発症。食パンを食ったところ失神してしまうというゆりゆららら☆大事件が起きた。
食べ物を口にすると「あ、死ぬかも」と悪心が走り、直後に過呼吸。視界がブラックアウ
ト。意識が戻ると玉のような汗(っていうか玉)……ブドウのような汗を手首にまでかい
ていて、人間は窮地に陥ると手首にも汗をかくということを知った。
あれは生きた心地がしなかった。

で、治った矢先、リプトンを1リットルがぶ飲みするというフードファイトを敢行したと
ころ無事再発。カフェインは駄目だ。アルコールもだけどね。食生活の大切さとこの世の
無常を思い知らされた。

次は10月。お次はぎっくり腰だ。シャンプーは出来ないし靴下は履けないし、落ちた物は
拾えない。そもそもベッドから起き上がるのも一苦労。最高に不愉快な秋の幕開けだ。
普通に日常生活が出来るまで一ヶ月半かかった。というか、今も完治していない。だいぶ
良くなったけどさ。

それでこの前は膝をやった。これは俺の不注意だが。

もうね。なんなん、マジで?
胃、腰、膝。子、丑、寅、みたいな。新しい干支か?
この後9個も続くってのか。冗談じゃねえ。

もうボロボロだ。パンツだって穴だらけで、臀部への攻撃に対して非常に脆くなった。
装備も生身も防御力ゼロ……そりゃあ人生初の人間ドックにも行くわ。
あと、今年は人生初の美容院高級コースにも行った。ちなみにその時の画像はコレ。

毛髪がいくらサラサラになっても、元気でなければ意味はない。思い返せば、今年はロク
な目に遭っていない。もう、ずっと。

2016年の3月14日。胃カメラで検査をするべく麻酔を打たれ、口から突っ込まれたチュー
ブに再三嗚咽しながら意識が遠のいていく――あの呪われた25歳のホワイトデー、生き地
獄を彷彿とさせる病歴だ。
ちなみに結果は逆流性食道炎だったけど、厄年という事で今では割り切っている。だけど
31歳は厄年じゃあない筈だ。

まぁ……新生活とか、環境の変化で体に不調をきたす時期を厄年と捉えるのであれば、新
生活がスタートして半年から一年が経過するので、丁度頃合いと言ってもいい。
だけど、ムカつく。健康には気を使っている方だし。
とか言いつつ毎日の夕飯は1500kcalを軽くオーバーする。

俺のヘルスを飛行機に準えるならば、片翼飛行だ。何故墜落しないのか自分でも疑問でな
らないが、意地で飛んでいる、みたいな所はあるだろう。
日本の都道府県が42だと思っているバカな機長(俺)の操縦だからね。上手く飛べるわけ
がないんですよ。

兎角、月に叢雲花に風なんて言葉もある。防音室を買って、アルバム制作も(蝸牛の歩み
で)進みつつある今が、フリアズにとって追い風であるのならば、受け入れるしかないの
かもしれない。
新しいソフト音源も買い、次の次のアルバムすらも見据え……MVのアイデアも固まって
きている。

不安定な生活は不安定な就労、収入、そういったものが招いているのは違いない。就職す
る気なんてサラサラ無かったが……前に進め為、即ち健康の為に就職も視野には入れては
いるこの頃だ。

だが、やれる所までやりたいとは思っている。

発足当初「Wacken Open Airに出るのが夢だ」なんて吹聴していた。目指していたのは嘘
ではない。だけど若い頃特有の誇大妄想と言っても差し支えない。つまり……能力が全く
足りていないのに、どこからか湧いてくる自信に突き動かされて、幻影を追っていた。
最近はそう感じるようになった。

今も夢は同じかと問われれば別に否定はしない。だけど度重なる障害や加齢、不安。その
他薄らと感じる充足感も相まって、熱意が薄れているのは事実だ。
大学を辞めてから10年だ。大学の友達には「10年後、テレビで!」なんて言っていた。
……下さん、俺、10年経っちゃったよ。

違うバンドをやっていたあの頃も、大型フェスに出る事が夢だったなぁ。
そう、丁度10年前だ。当時のバンマスの山田君は、色々なフェスに出ようと躍起になって
いただろう。その果てに絶望し、音楽界を去ってしまった。
もしかしたらどこかでひっそりと続けているのかもしれないが、関係が絶たれた今、正味
どうでも良くはなってしまっている。きっと、今後会う事もないだろうから。
「バンドで食っていくぞ」という意識が全盛期だった当時、フリアズの現サポートメンバ
ーであるピル佐藤やヒガキシなんかも同様に、エマージェンザとかレッドブルジャパンと
か、そういうのを見据えていて。数年前にもピル佐藤に「早くWackenに連れていけ」な
んて言われた。俺はそれを冗談だと思っていた。
だけど先日、ピル佐藤がこんなツイートをしたのだ。

まだそう思ってくれているんだな。
いまだにそういう目でフリアズを、俺を見てくれているんだなって思うとさ。
信じてくれる仲間の為にWackenに行きたいよな。
大言壮語の夢物語でも、諦めたくないんだよな。叶えたいんだよ。

でもその道は物凄い難しい。
険しいんじゃない。難しいんだ。険しいだけならば、乗り越えるだけの器量はある。ガッ
ツが無いなら持てばいい。だけどそうじゃない。道がないかもしれない。途切れている可
能性だってある。言い訳もある。

だけど、簡単に解決する方法がある。すごくシンプルで、すごく楽な道のりだ。――俺が
頭を打って、人間性が180度変わればいい。誰彼構わず話しかけ、明るくテンションが高
く、何を言われても、どう思われても動じない。鋼のメンタルを手に入れれば良い。技術
やルーティングを身に着けた今、最も俺に足りないものはメンタルだと思っている。図々
しくて肝が太くて、二言目には「バンドやってっから!ライブ見に来いよ!」みたいな。
そんなコミュニケーション能力の塊みたいな人間になればいい。
そうすれば、色々なシミュレートでネックになっていた部分を見事打開し、友に、仲間に、
バンドメンバーに、最高の景色を見せてあげる事が出来る。

誰かにブン殴ってもらえば、運が良ければ変わるだろう。
最悪死ぬか、記憶障害になると思うけど。

陽キャでバンドをやっている奴等も居るけど。俺は陰キャだ。
根暗で引っ込み思案だけど、誰かの為に叶えたい願いがあって生きている。

フリアズが始まって8年。音楽をやる為に大学を辞めて10年。得たものはいっぱいあって、
歌もキーボードも、納得のいく音源も出来始めた。生演奏、生歌も安定してきた。
……そう、これからなんだよ。

ようやくカードが揃い始めた今、止まるという選択肢はナンセンスだ。
止まらざるを得ない状況もあるかもしれない。だからこそ日々の生活も含めて、繰り出す
一手毎は慎重でなくてはならないんだ。慢心なんて許されない。病気になるのは自分にも
責任があるってことだ。

コロナとかそれぞれの事情とかで、中々円滑には進まないかもしれないけど。
振り返ってみて、この1年はそんなに精力的に活動は出来ていない。言ってしまえばここ
2年程、ずっとそうかもしれない。だけど、お陰で手に入れられたものもある。ルーティ
ングやコンディション、未発表のキラーチューン。それらを引っ提げ、来る2023年は堂々
と進軍していければと思っている。
無名から有名になっていったアーティストを色々と調べた事があるのだが、2~3年で開花
するケースが多かった。

ここからの2年じゃないだろうか、フリアズは。

 

そんなわけで、毎度の如く長くなってしまったが、最後に謝辞を書いて終わりたいと思い
ます。
まず初めに、いつもお世話になっているピル佐藤、ヒガキシ、東出さん。いつも本当にあ
りがとうございます。音楽だけじゃなくて何から何まで……どれだけ俺が救われている事
か。筆舌に尽くしがたい思いで胸が一杯です。こんな人間ですが……来年もよろしくお願
いいたします。

次に俺と遊んでくれる友人。「俺の事かな?」って思っている人は全員該当すると思う。
この歳になっても遊んでくれる人って少ないんだよね。その優しさ、懐の深さに感謝して
ます。ありがとう。来年もよろしく。また遊んでくれ。

それから特筆して今年度もお世話になりました。Allegiance Reignの長谷川さん。金銭的
な援助と言いますか、命を救われております。誘っていただく映画とかイベントとかが僕
の心と体を潤し、音楽的な引き出しにも繋がっています。ありがとうございました。来年
もよろしくお願いいたします。

ryoさん、youさん、茶割り界隈の方々、バンド経由で繋がっている方々。差し入れやご
馳走、相談ごとやお会いする毎に、何がしかの施しを受けています。月並みな言葉ではあ
りますが、感謝しています。また来年もよろしくお願いします。

音源を買ってくれた方、見てくれた方、聞いてくれた方。
ありがとうございました。

皆様、今年もありがとうございました。
2023年も何卒、フリアズ共々よろしくお願いいたします。

 

ロイド・スカーレット

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