新しいギター、新しいキーボード、新しいツインペダル。新しく楽器を買うタイミングっ
て、いつだろう。
壊れた、新しいモデルが出た、演奏するのに不十分……理由は人それぞれだけど、壊れた
場合を除けば、欲しくても即座に買う人は少ないのではなかろうか。そこには多分、逡巡
がある。
値段が高かったり、置く場所が無かったり。あとは「古いのがまだ使えるし……」とか。
俺の場合は後者二つで、十年以上新しくキーボードを買う事はなかったのだが、とうとう
生演奏用に購入した為、ブログで紹介したい。

……ちなみに、十年振りというのは嘘だ。
実際はALESISのVORTEX、KORGのRK100S、YAMAHAのMX49を中古で買ったりしていた。
どれも合わなかったので手放したんだよね。実際に触ってみないと、中古って難しいわ。
そんなわけで――

大きさは麦茶と比べてクレメンス

買ったのはYAMAHAのMODX7+というシンセサイザー。
ざっくり説明すると、MODXというモデルの後継機で、76鍵。YAMAHAのフラッグシップ
モデル『MONTAGE』の下位互換で、お値段は16万円~18万円ほど。ワークステーション
タイプ(ようは機能的に優れてるヤツ)なので宅録用のキーボードとして使うも良し、ラ
イブ演奏に使うも良し、オールラウンドに活躍が期待できるシンセサイザーだと思う。

76鍵だがコンパクトな造りで、幅が114cm
引き合いに出てくるであろうJUNO-DSやFANTOM-07よりも小さい。
重さは7.4kgだが、こちらは最軽量ではない。
尚、後述の理由でこの商品はエントリー向けではないと思う。

JUNO-DSだとタッチパネルじゃないし、初心者感が出て正味恥ずかしい。
もしかしてバンドリでキーボード始めた感じッスか?笑」とか若者に言われた日にゃあ
もう生きていられない。唇を噛んで血を流しながらミュージシャン生命を絶つ事すらある。
安さや鍵盤のタッチは申し分ないが、操作性に難がある。その場でEQを掛けたり、音色別
に細かい音量調整やアタック・リリースタイムを即座に設定し直す事はできない。
FANTOM-07は値段が高い事と、Rolandのフラッグシップ『JUPITER-80』が家に既にある
し、それなら……ということで、今回コイツに軍配が上がったわけだ。
詳しくは動画を出しているので、是非。

ヤマハさん、これね。正直に言うけど、機能を詰め込みすぎ。(九割は良い意味で)
アルペジオ機能やモーションシーケンス(ようはサウンドFXのような効果が付いたり、打
鍵した音以外の音が鳴ったり)だけなら分かる。Rolandにも似たような機能があるし。

だけど他に機能を搭載しすぎ、多機能すぎるんだよね。
その筆頭にシーン機能が挙げられる。ようは演奏中に音色に多彩なエフェクトをかけたり
リアルタイムで音色に変化をつけたり出来るのだが、一つの音色に八つも変化を付けられ
る。例えるなら、一つのピアノに八つのピアノを付けられる。
……いや、オーバーキルじゃんか。一曲の中でそんなにピアノの音色変えたいって事あり
ます?ないでしょう。
使い道は無くはない。だけど、代案はたくさん思い浮かぶ。

スーパーノブという機能もある。これは二つの音色を行き来したり、ブレンド具合を絶妙
に調整できるというものだ。ピアノとストリングスの混ぜ具合を半々にしたり、ピアノだ
けにしたり。これは便利だと思う。他の機種ではスライダーでやっていた事を、ツマミで
出来るのだから。

つまり各社が、自社の製品で独自の色を出したいという事なのだろう。
RolandのDビームみたいなものだ。手をかざすと音色が変化するっていう。アレは正直無
くても全く困らない。あるから使ってみるか~とは思うけどね。アンバサダーをやってい
た(やっている?)手前、言って良いのか分からないが……正直な感想として、密かに書
き記す事にしよう。


現場のキーボード(シンセサイザー)に求めるもの。それは弾きやすさ、耐久性、可搬性
それから大きさ。これらは言うまでもない。あと重要なのが、操作性と対応力だ。
フリアズの場合曲作りをスタジオで行う事が多く、バンドで合わせてみて「ここはこうし
よう」とか細かく決めていく。
当然試す事も多い。似た感じの音色を幾つか試したり、出ている周波数が違うだけの同じ
音色を比べてみたり。
となると、すぐに違う音色が探せた方が良いし、イコライザー等のエフェクトも即座に弄
れた方が良い。視認性も優れていなければならない。そうでないと、まごつく。貴重なス
タジオの時間を無駄にしてしまう。操作性が良く、その場でニーズに対応できる、そんな
キーボードを探していた。他にもあるかもしれないが、76鍵となるとそもそも種類が少な
い。そんな中選んだのだから、性能を持て余したのは必然とも言えよう。
ただ、楽曲制作においては、その限りではない。イマジネーションを手に入れる為に、色
々な機能を搭載していた方が捗るというものだ。先に述べたように、一つのピアノを八つ
に変化させる事も役立つ……いや、どうなんだ?それは分からないが……。

操作性と対応力に優れる。大きさ、重さも良い

まとめると、今回は現場で使う生演奏用途としてコイツを買った。結果的に持て余してい
るのだが、後悔は微塵もない。Rolandにはない音に触れて、最近の機種の高性能と価格の
具合も知れて、それでいてRolandの良さも再認識できた。
両社、やっぱ良いじゃん。

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