世の中には二種類のおじさんが居る。格好いいおじさんと、格好悪いおじさんだ。
最近ではパリオリンピックのトルコの無課金おじさんが話題になったが、アレは前者だろ
う。一人だけラフな服装で、ポケットに片手を突っ込んだまま銀メダルを掻っ攫う。紛う
事なきイケオジだ。
はてさて、そんなわけで今回はイケオジの話題だ。片田舎のおっさん、剣聖になるという
ラノベ・漫画作品がある。
以前から気になっていたのだが、来年にはアニメが放送されるという事もあって、買って
みたのだ。
内容は、精神年齢の高い人からすれば稚拙に写る典型的なライトノベルかもしれない。端
的に言うと異世界が舞台の『俺TUEEE』と言っても差し支えないからだ。しかも主人公の
回りには何故か女の子がたくさん存在してハーレムが形成されていくという、お決まりの
パターンでもある。
ここまで言うと悪評に聞こえるかもしれないが、実は逆である。
例えば『中華そばが食いたいな』って時に、中華料理屋で中華そばを頼んで普通の中華そ
ばが出てきたら『ああ、これこれ』ってなるじゃん。別に革新的な創作ラーメンを求めて
いるわけではない。
探していたのは最高にうまい一杯でもなく、クソまずいゴミラーメンでもない。中庸でい
い。そんな願いを叶えてくれたのならば、すなわち期待通りの高評価と言えよう。
これはそういう作品だ。王道的なバトル、ハーレム展開、クソ強い主人公、時折ピンチ。
そう、これでいいんだ。まるで週刊少年ジャンプを読んでいるかのような……剣とか魔法
とかが出てくるファンタジー全開のちょっと痛い漫画作品だと分かっていて、俺は読み続
けている。
ジャンプ作品を読んでいる感覚に陥るのは、きっとハンターハンターや呪術廻戦のような
絵のタッチだからだろう。使っているペンが同じなのだろうか。これがまた良い。
シナリオに関しては賛否両論あるだろうが、まだコミックは6巻。そう、この先の展開に
よっては王道路線から逸脱し、とんでもないノベル作品に化ける可能性も捨てきれない。
最近こういうおっさんを題材にした作品が増えたと思う。売れ筋テーマが『バブみ』から
『おじさん』に変わったのだろうか。
自分を過小評価しているおじさん。自分は凄い人だと思っていたが、いつしかそう思うの
をやめたおじさん――世の中に遍在する、そんなおじさん達を読者ターゲットにしている
のだと思われる。
傍から見ればそれは、つまりは世間のニーズが、バブみという『甘やかし』から『共感』
へと変化したって事なのだろうか。だとしたら……いや、どちらにせよ若い人達からすれ
ば気色が悪いのだが……。
と、まぁそんなおっさん達が『もしかしたら俺も……!』って、勘違いしてしまうような
そういう作品だ。読んでいて一切不快にならない。これって案外大事なんじゃないかな。
子供の頃、頑張ればカメハメ波が撃てると思っていた人は俺と同類だから、ハマるかもし
れない。
ちなみに原作の方が顔が老けていて、コミカライズ版はちょっとデフォルメされている。
漫画の場合は若い読者が多いからだと思う。
ただ、アニメのティザーを見ると結構おっさんに描かれている。漫画よりも原作に寄せた
という事なのだろう。アニメは2025年4月から。要チェックだな。
https://ossan-kensei.com/(アニメ版公式サイト)
って、おいおい。音楽担当がまた高梨さんじゃねぇかよ!
こりゃあ皆、視聴決定だな!
あ、あとヒロイン達のキャラ立ちがしっかりしてるっていうか、没個性に見えて実は差別
化できてる気がするし、漫画版は描いている人も上手いから(←大事)可愛くて萌えるっ
ていうか、キャラのデフォルメとか感情表現の方法が多彩でスゲェなっていうか!
何を言ってるのか分からねーと思うが、幻術なんてチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっ
と恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
ミュイっていうロリが出てくるんだが、それがまたしっかり他作品と差別化が図られてい
て外ハネショートカットヘアに釣り目なんだけど俺のような大変な変態や大きなお友達の
性癖を侵略するが如くきっと気に入ると思うから、彼女の成長を愛でる為にも諸兄らはや
っぱり