そもそも少年サンデー自体、元々乳首描写の制限を設けていなかったような気がする。「らんま1/2」の90年代前後ではらんまの乳首が出ていたような気がする。メルヘブンや烈火の炎でも乳首が出ていたという目撃情報がある。
しかし暫くの間、ここ最近まで少年サンデーで乳首が描かれることは無かったような気がしてならない。というのも、一部の性犯罪事件などの背景に二次元美少女などのサブカルチャーの存在があり、「重度のオタク=犯罪者予備軍」というイメージが植え付けられ、責任の擦り付けや、問題及び原因の早急な解決に躍起になったお偉方(「非オタク」)が性的描写に対する批判や警鐘を鳴らし、恐らく性的画像の規制について世俗が敏感になっていたことも要因の一つだろう。
そうして暫時休憩をおいてから乳首の露出が見られたものだから、我々のような若い世代は「サンデーが乳首を解禁したww」と誤った結論に至ったのである。
が、今回はその長い休養期間からの復活を敢えて「乳首解禁」と判断させてもらう。

少年サンデーの「乳首解禁」について、噂で以前聞いたことがあった。しかしすっかりと忘却しており、今回競女の単行本を買って、宮田ちゃんの乳首が筆者である私の網膜に焼き付き、サンデーで乳首が解禁されたことを思い出した。
我々読者の眼前に露となってしまったヒロイン、宮田ちゃんや神無のぞみの乳首の件について、私は喜ぶべきなのかどうか分からないでいる。
正直なところ、見れなくても良かった。そこは読者の想像力に任せて欲しかった。「宮田ちゃんどんなおっぱいしてはるんやろ?(注:筆者、乱心中)」と想像を膨らませるところが、少年時代に享受された一つの楽しみ方である気がしてならない。比喩するならば乳首隠しは【パンドラの箱】だろうと、私は提唱したい。箱の中身に価値などないのだ。「宝箱の中身はなんだろう?」と考えるプロセスに幸福的価値があるのだ。内容ではなく蜃気楼のように実体を持たないその過程という部分に我々は価値を見出だしているのだと。
虚像を追い求めて走る、その時間が要訣なのだよと、ありし日の少年ジャンプは我々に語りかけていた。

ジャンプの主な読者層は小中学生、対してサンデーの主な読者層は高校生という統計結果をネットの記事で目にしたことがある。これを踏まえればジャンプでは乳首が規制され、サンデーでは解禁されているのも得心がいく。しかしそれで良いのかニッポンと、私は問いたい。否、サンデーよ。宮田ちゃんの少女然とした凹凸の少ないなだらか胸部と控え目な乳頭を私は最早網膜に複写してしまったぞ。恐らくDNAが複製されるのと同様、宮田ちゃんの乳首が俺の遺伝子に刻み込まれ、金輪際ずっと塩基配列として転写され続けるぞ。なぜ読者にそのような悩みの種を与えるのか。私には分からない。

性器の描写が規制対象というのは事実だ。だとするならば、乳首は性器ではないのか? 否私はそれを性器だと思う。「性の器=うつわ」と書くからには、その物(所有者ないし本体)を、それ(即ち器=乳首)によって性たらしめるものを「性器」と命名するならば、乳首は性器と呼べるのではないのか? 仮に男女双方にあるから性器ではないのだとしたら、何故女性は乳首を隠すのか? 形や大きさにおいて男女間で発達に差があるから隠すのだと言うならば、それは「性器」ではないのか? 何をもって性器というものをより分けているのか? 元理系の大学に籍をおき、生物学に軽く触れていた私は疑の一石を投じたい。加えて言及するならば、生殖の際に主用でないにせよ乳首を用いられ、生殖後の育児に必要とされるのならば、乳首とは広義で「生殖器」だと、そう声を高らかに述べても良いのではなかろうか?
であるならば、そうであれば、なぜ少年サンデーは局部だけは頑なに守っているのか。それが最終防衛ラインだ、とでも言うかのように。

私は「乳首NG、局部NG」という方針を固持した出版社が正解だと感じられる。「局部は駄目で、なんで乳首はいいんだ」と。据え膳食わぬは男の恥とまでは言わないが、馳走を目前にたった一口しか味見させないなら最初から出すな、と。私論ではあるが、やがてこういう見解に到達した。
何を境界としてOKとNGを線引きしているのか。それが不明瞭では我々漫画愛好家、変態紳士、一愛読者は靄の掛かった疑問に答えを見つけることが出来ないままだ。
しかしそれは「知ってしまった現実を無かった事にしたい」という逃避の一部分なのかもしれない。

全然関係ないけど来年もFree As Birdsをよろしくお願いいたします。
Lloyd Scarlet

2 thoughts on “少年サンデーの乳首描写について

  1. とは言いつつ競女はアニメ、単行本両方すごい面白くてよい作品です。それは間違いありません。

    ただ、乳首が気になっただけなんです。

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